金子さんは「ソフト開発が罪となると技術者の大きな足かせとなる」として徹底的に争い、無罪を確定させた。ただ、長い裁判に伴い、ウィニーの開発は完全に止まった。
「日本のインターネットの父」といわれる慶応義塾大の村井純教授(58)=情報工学=は、本紙の取材に「ひょっとしたらウィニーがビジネスの基盤に育っていた未来があったかもしれない。ただただ残念だ」とかみしめるように話す。
P2Pと呼ばれるネットワーク技術を使い、大規模な利用にも耐えて作動するウィニーは革新的で、学術研究としても優れていたという。
「ウィニーはソフト的にも社会的にも改善すべき点はあったが、世界で5本の指に入る大ソフトだった。金子さんは脂が乗っていた時期に改善に携われず、歯がゆかったろう」
プログラムは自己表現
金子さんはウィニー開発以前から、個人サイトで数多くの実験プログラムを公開していた。