自著「ウィニーの技術」(アスキー)では「キーボードを抱えたまま就寝、起きてまたキーボードに向かう。そのため電動式の起き上がりベッドを常用している」と暮らしぶりを明かしている。考えついたアイデアをすぐにプログラムして生活していたのだという。「私にとって、プログラムは表現手段」とも。金子さんには、プログラムは言葉を話すように、人生の一部だったのだろう。
6月8日に更新された個人サイトに、新たなプログラムが加わることはもうない。一つの才能が失われた意味はあまりに大きい。(城)
【用語解説】「ウィニー」事件
ファイル共有ソフト「ウィニー」公開によりネット上での違法コピーを手助けしたとして、金子勇さんが平成16年、著作権法違反の幇助(ほうじょ)容疑で京都府警に逮捕された事件。1審は有罪、2審は「違法使用をすすめていない」として逆転無罪。最高裁は23年12月、「著作権侵害を手助けしようという故意はなかった」として検察の上告を棄却し、金子さんの無罪が確定した。