国内ビール類の課税出荷数量【拡大】
ただ来年4月の消費増税を前に、今年後半には消費の中心が住宅や自動車など耐久消費財に流れ、嗜好(しこう)品のビール市場が想定以上に縮小する懸念もある。
そうしたなか、各社が注目しているのが、二重課税問題の行方だ。消費税は、酒税込みの製品価格全体が課税対象。いわば税金に税金を課す仕組みだ。とりわけ麦芽使用比率が3分の2以上のビールは、この二重課税部分の比率が大きく、大瓶1本当たりの税金負担(酒税と消費税の合計)は45.1%にも上る。
これはドイツとフランスの約15倍、米国の約14倍に達し、負担の大きさは欧米にも例がない。業界内には、消費増税に合わせて、この二重課税を解消したいとの思いが強い。
仮に見直しが行われビールの酒税が引き下げられた場合、「低価格という第3のビールの優位性が薄まりビール需要が高まるのは確実。各社の収益性は飛躍的に高まる」(藤原氏)とみられている。成長著しい第3のビールだが、ビール類市場に占める割合は約35%。これに対しビールは50%以上を占めるだけに、酒税見直しにかける業界の期待は大きい。(西村利也)