経営危機の回避に向け、電力会社が今年度中にも電気料金の値上げ判断を迫られそうだ。電力10社の2013年4~6月期連結決算は、北陸電力を除く9社が経常赤字に転落。原発停止に伴う火力発電の燃料費の増加が、各社の経営に重くのしかかっている現状を鮮明にした。しかも、収益改善の切り札となる原発再稼働は、原子力規制委員会による安全審査で「想定外」の遅れが目立つ。収益底上げのため、各社が進める経営合理化やコスト削減が早晩息切れする可能性は大きく、すでに値上げに動いた電力会社も、再値上げへのカウントダウンが始まっている。
抜本的解決ならず
「赤字幅は縮小できたが、安全性が確認できた原発が再稼働しないと黒字化は難しい」
5月に家庭向け電気料金を、9.75%値上げした関西電力の八木誠社長は7月末の会見で、値上げによる増収効果を認めつつも収益改善の抜本的な解決にならないとの考えを強調した。