企業海外移転で産業空洞化招く恐れ
原発再稼働が見込めず、燃料費が膨らみ続けると東電だけでなく、関電など複数の社が3期連続の赤字に陥る恐れがある。「3期連続で赤字なら、金融機関からの新たな資金調達が難しくなる」(大手電力幹部)恐れがあるだけに焦りが募る。
九電の瓜生道明社長は「再稼働時期をもう少し見極めなければならない。現時点では(再値上げは)全く白紙」と事態の推移を見守る姿勢を示すが、四国電の千葉昭社長は「年が明けても(原発の)稼働が見通せない場合、再値上げを検討する必要がある」と指摘する。北海道電の川合克彦社長も「(原発が)止まり続ければ当然可能性も出てくる」と再値上げに含みを残す。
電気料金の落ち着きが見通せない状況に対して、経済産業省幹部は「電気代がさらに上がれば、企業が生産拠点を海外に移すなど、産業空洞化につながりかねない」と強い警戒感を示す。
相次ぐ値上げには消費者の反発も予想されるが、各社の経営体力の消耗は激しい。タイムリミットが迫る中、料金値上げは一段と現実味を帯びてきた。(橋本亮)