「期初から相当厳しいということは覚悟してきた」。中部電の水野明久社長は赤字幅が拡大した決算をこう総括し、経営効率化の深掘りに取り組む姿勢を強調したものの、上限を引き上げるには抜本的な値上げを申請するしか方策は見当たらない。
想定崩れ膠着状態
値上げに動いた6社の電気料金の算定は原発の再稼働が前提。東電は昨年まとめた「総合特別事業計画」で、柏崎刈羽原発(新潟県)の2基を4~5月に再稼働すると想定していたが、新潟県の泉田裕彦知事との会談が決裂したことで安全審査の申請すらできず、膠着(こうちゃく)状態が続く。東電は必達目標として16年3月期での経常黒字化を掲げているが、「柏崎刈羽原発が再稼働しなければ非常に厳しい」(広瀬直己社長)状況にある。
現在進行中の規制委の安全審査は順調にいっても半年程度かかるとされる。関電の高浜原発3、4号機(福井)、九電の川内原発1、2号機(鹿児島)、四国電の伊方原発3号機(愛媛)は7月の再稼働を想定していたが、すでに予定時期を過ぎており大幅に遅れることは確実だ。