三菱電機の京都製作所構内を歩くカルガモの親子(同社提供)【拡大】
それでも、植え込み横の通路は大型トラックがひっきりなしに行き交う。
「黙って見ていられない」と同製作所総務部の男女約10人が“見守りチーム”を結成し、各自の休憩時間などに交代で親鳥を観察する態勢が敷かれた。
チーム員は約1カ月間、午前5時ごろに出社して親鳥の体力が弱っていないか確認したり、外敵から守るために工事用のコーン=円錐(えんすい)形の器具=で植え込みを囲んだり…。
苦労のかいもあって、7羽のひなが無事孵化(ふか)したが、ヒナたちが道路に出ないよう、巣の周囲に柵を張り巡らせるなど献身的なサポートを続けた。
カルガモ親子が近くの田んぼに引っ越す際には、数人の社員が夜明け前から付きっきりで見守った。途中、ヒナ1羽が用水路に落ち、「あわや危機一髪」というアクシデントにも見舞われたが、社員が無事救出。親子が田んぼまでたどり着いたときには、「皆が胸をなで下ろした」(関係者)とか。
このほか、エレベーターやエスカレーターなどを手がける稲沢製作所(愛知県稲沢市)でも、カルガモが約5年前から屋上で毎年産卵し、社員が休憩時間中に見守っている。