アジア・ワールドは、中国の支援で整備が進むチャオピュー港の建設を受注するなど、中国との太いパイプで知られる。韓国も日本以上のトップセールスを展開しており、日本勢は官民一体で受注戦略を練り直す必要に迫られている。
例えば、ベトナム北部のラックフェン港は今年7月に円借款を受けて基礎工事に着手したが、官民連携で狙っていた港湾運営事業権をめぐる契約は宙に浮いたままだ。伊藤忠商事、商船三井、日本郵船の企業連合が基本合意目前までこぎつけながら、当初の現地パートナーが経営難に陥って計画は中断。新たなパートナーと交渉中だが、ベトナム側の政府保証などをめぐって協議が難航し、一筋縄ではいかない。
国土交通省は4月、官民一体で空港インフラ受注を目指そうと、大手商社や空港会社など57社による協議会を発足させた。2010年には港湾インフラ受注に関しても同様の協議会を設けているが、中国・韓国勢にどう対抗し、アジア・新興国ならではのカントリーリスクをどうやって回避するか、課題は突きつけられたままだ。(上原すみ子)