もう一つ中規模ビジネスと大企業の間に溝があるとすれば、それは会計部門によく表れている。米国では、会計ソフト市場はインテュイットの独占状態にある。1980年代から会計ソフトを提供し続け、時価総額は190億ドル(約1兆8760億円)といわれる。
しかし、そのインテュイットが今、もっとシンプルな会計・財務管理プラットホームを提供するSaaS型スタートアップの挑戦を受けている。
大企業の会計の複雑さは、中小企業のそれとは違う次元の話だ。従来の大企業を対象にした会計ソフトを採用することは、米国ではインテュイットのソフトウエアの枠組みと、それに伴う高額の支払いに長期的に縛られることを意味する。中規模のビジネスにとっては割に合わない。結局、市場を牛耳る伝統的なソフトウエア提供企業であっても、二君に仕えることはできないということだ。
そこに、Xero(ゼロ)のような大規模ソリューションにとって替わる、リーズナブルなサービスが支持される理由がある。ゼロを使えば、シンプルなオンライン上のダッシュボードから、複雑な手続きなしに売掛金・買掛金が請求通り回収・支払いをできているか、確認することができる。
特に、規模の小さなビジネスが中規模に拡大する過程ではこうしたシステムが欠かせない。ゼロは、米国のほとんどの銀行・金融機関からデータを直接読み込み、また書き出しもできる点が特徴だ。つまり、ゼロのAPIがあれば、銀行からデータを引っ張ってきて自動的にキャッシュフロー計算書に数字を並べられる。画期的なサービスだ。