【ITビジネス最前線】SaaSが変えた中小の技術投資 (3/4ページ)

2013.8.26 05:00

 ◆試行錯誤し成長

 SaaSが他の何よりも秀でているのは、サービスに相互運用性を与えているところだ。従来の法人向けソフトウエアが、製品ラインアップを用意してそのすべてに企業を縛りつけようとするのとは対照的に、SaaSは、可能な限りたくさんの外部サービスと連携できるように作られるのが常だ。

 SaaSの提供社は、利用する企業の望みが単独のサービスの枠には収まらないだろうということを始めから想定している。顧客企業はソフトウエアありきでビジネスを組み立てているわけではないのだから、ソフトウエアを提供する方が組織に対して継ぎ目のない連携を保証する必要がある。つまり、他の大手ソフトウエアプロバイダーとの簡単な連携方法に加え、プラットホームから外部にデータを出力しやすい手段をも備えなければならない。

 信頼性では従来のソフトウエアに劣ると考える企業もあるかもしれないが、SaaSはそれを使いやすさと、「逃げやすさ」で補っている。つまり、サービスが気に入らなければ、すぐに支払いをやめて、データを取り戻し、使うのをやめればよい。対して、法人契約で購入して何百台ものパソコンにインストールしてしまったウイルス対策ソフトを途中でほうり出そうとしてもそう簡単にはいかない。

 実際、SaaSを使えば、企業はサービスに慣れるまで試行錯誤し、自分のペースで成長していくことができる。サービスの拡張性と相互運用性というSaaSに特有の性質は、中規模の企業にとってはまさに有益だ。組織が大きくなれば、その分サービス提供社に払う額を増やし、もし、組織縮小の場合には減らすことができる。また、豊富な製品ラインアップの利用を強要されることがないため、他のプラットホームとの連携によって情報を連結・強化することができる。

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