「選手との人間関係やつき合いが深ければ、こちらがつくった製品をそのまま着てくれた」(吉井さん)という古き良き伝統も、LRの登場で崩れた。
結局、FINAは10年1月、LRで使われたラバーやポリウレタンの使用を禁止。足首まで覆っていたロングスーツも禁止され、身体を覆っていいのは男子が腰から膝まで、女子は肩から膝までとした。
この結果、メーカーによる水着開発の余地は狭まったが、選手が全ての水着を試し、本当にいいと思う製品を選ぶようになったため、各社の真の実力が厳しく問われることになった。
各メーカーは従来、競泳用水着を夏季五輪に合わせて、4年ごとにつくっていたが、今や「毎年の各種大会ごと」の開発競争となっているという。
採算厳しく
ミズノはかつて、英スピードとライセンス契約を結んでいたが、スピードがLRを発売する直前の07年に契約が切れ、自社ブランド水着の展開を始めた。
当初、圧倒的シェアを持つスピードや伊アリーナには遠く及ばず、世界大会で着用した選手はわずかだった。