「ボスグラン・アロマ」【拡大】
高橋氏には、どうしても「再会」したいコーヒーがあった。昭和62年にコーヒーの担当となり、その頃に出会った「モカマタリ」というイエメン産のコーヒー豆。フルーティーな香りに高橋氏は「恋にも似た高揚感」を覚え、入れ込んだ。だが、その後は「近代化で豆の精選加工法が変わってしまったためか、同じモカマタリに会うことがなかった」という。
プロジェクトは、この「追憶のモカマタリの香り」の再現に挑む。高橋氏は、これまでの研究から、モカマタリの香りの秘密は豆の加工に発酵技術を使うことにあるのではと見当をつけていた。
早速、サントリーグループが保有するビールやウイスキーなどの製造で使う数多くの酵母を試す。その中でワイン系統の酵母に絞り込み、最終的に「一番香りだちがいい」と感じたシャンパン酵母を選んだ。発酵に使用する酵母の数や温度を何度も調整する試行錯誤を繰り返し、約4年がかりで追い求める香りを作り出す発酵ノウハウをようやく見つけ出した。