「下町ボブスレー」開発に参加している企業や組織【拡大】
そう考えた大田区産業振興協会の小杉聡史広報チーム主任コーディネーターは2011年11月、A4判2枚の企画書を手にし、同区の金属材販売加工会社、マテリアルの細貝淳一社長を訪ねた。
プロジェクトの実行委員長でもある細貝社長は快諾したが「そもそもそりの構造が分からなかった」ため、国内唯一のボブスレー・スケルトン部がある仙台大学のそりを借り分解。レーシングカー設計の童夢カーボンマジック(現・東レ・カーボンマジック、滋賀県米原市)が全体設計図を作り上げ、マテリアルが部品化設計を担当した。
12年9月、京急蒲田駅近くの大田区産業プラザに区内の中小企業のトップらが集まり、部品の図面を配布。試験片製造会社の昭和製作所、上島熱処理工業所など約30社が分担して1カ月で部品を完成させた。全て無報酬だったが「各社ともお金が絡まない分、思いっきり部品の製作に打ち込めた」(小杉氏)という。「短納期でも発注元の厳しい要求にも柔軟に対応できる大田区の中小企業の良さが出た」(細貝社長)格好だ。