大田区産業振興協会の小杉氏は「下町ボブスレーを通じて、時代に合った中小企業のネットワークを作りたい」と話す。
世界的にも関心が高い五輪で好成績を収めれば、大田区だけでなく、日本のものづくりの質の高さが証明される。「世界中から大田区の中小企業への発注が来るかもしれない」(小杉氏)と期待を寄せる。
現在、2、3号機のボディー下部に取り付ける「ランナー」と呼ばれる刃の製作も進んでいる。完成すれば、試合の直前まで、選手の要望に合わせ、刃やそりの調整ができるようになる。プロジェクトの細貝委員長は「海外製のそりではそりに合わせていくしかなかったが、国産なら試合直前まで最良のコンディションを追求できる」という。
下町ボブスレーがソチ五輪で走るためには、北米大陸での国際大会を転戦し好成績を収め、ポイントを稼ぐ必要がある。
そりに乗り込む選手も発掘しようと、今年2月に日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟と包括協力協定を結び、同5月には大田区内でトライアウト(選抜テスト)を実施した。
細貝委員長は「ここまで多くの人の支えでやってこられた。ソチ五輪でいい結果を残し、笑顔で地元に帰ってきたい」と語った。
ボブスレーを通じ、大田区のものづくりの実力が評価されるときが近づいている。(松村信仁)