東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に向けた流れ【拡大】
仮に審査に「合格」しても、問題が解決するわけではない。工事中のベントについて、新潟県の泉田裕彦知事は耐震性を問題視し、設置に難色を示していた。東電は地震時の揺れを抑えられる地下式の「第2ベント」も備える対案を出したものの、泉田知事はベントの運用開始には県の了解を得るよう東電に強く求めている。
柏崎刈羽の横村忠幸所長は「自治体が策定する計画に積極的に協力したい」とし、知事との溝を埋めたい考えだ。
再稼働が遅れても、送電設備の修繕工事を14年度に繰り延べるなどして、東電は13年度に黒字化を達成する構えを見せる。ただ、年明け以降も再稼働の見通しが立たなければ、電気料金の再値上げという事態が現実味を帯びる。来春、消費税率が8%に引き上げられる中、柏崎刈羽の再稼働の遅れは国民生活を直撃する死活問題になりかねない。(宇野貴文)