「募金」呼びかけへの波紋 表裏一体で広がる“共感”と“炎上” (3/3ページ)

2013.10.19 14:22

 昨年春、学費支払いに困窮している学生らへの支援を目的に設立されたサービスでは、支援を求めた学生が既に退学扱いになっていたことなどが事後に判明。運営側の説明不足に「詐欺まがい」などと批判が集中し、同サービスはその後、休止したままだ。

のびしろ多い寄付文化

 寄付をめぐる“炎上騒ぎ”が起きるたびに、ネットでは「日本には寄付文化が根付いていない」といった声も上がる。NPO法人日本ファンドレイジング協会によると、日本の寄付市場規模は年間推計1兆円で、米国の20分の1程度。同協会は「ネットで寄付が身近になり、日本でものびしろはある」と期待し、「寄付は善意の発露だけでなく、継続的に応援し行動することの入り口。利用者と支援者双方が、寄付行為自体をよく理解することが必要」と話す。

 裏切られた善意は炎上という“倍返し”の温床となる。だが必要なのは感情的なエスカレートではなく、寄付対象を冷静に見つめ、共に歩もうとする姿勢なのだろう。(三)

【用語解説】クラウドファンディング

 目的や使途をネットで公開し、資金提供を募る仕組み。欧米では日本に先駆けて活発化しており、金融庁によると、昨年の世界全体での資金調達額(推計)は約28億ドルで前年の2倍近くに増加している。支援者が見返りを求めない「寄付型」や商品などの見返りがある「購入型」、金銭的な対価を受け取れる「投資型」などの多岐にわたるサービスが展開されている。

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