大手を含む製粉3社、製パン4社から提案をもらい、小麦粉の調達では昭和産業の協力を得た。「いつか使いたいと思っていた小麦粉を思い出した」という同社の責任者が提案したのは、カナダ産の小麦粉。国産小麦などと比べ、パンにするとしっとりとして甘みが強い。
産地が限られ収量も少なく、小麦粉にしては高価だが、セブン&アイHD傘下のコンビニやスーパーで大量に販売できるメリットを生かし、調達コストを抑えた。
最も大変だったのは生産工程だ。量販する食パンは通常は粉をこねるところから袋詰めまで全自動で熟成時間も短く、しっとり感を出すのに必要な水分が少ない。また、専門店レベルの弾力のある食感を実現するには、どうしても手でこねて生地に気泡を含ませることが必要だ。
この難題に答えたのが中堅製パンの武蔵野フーズ(埼玉県朝霞市)。「いつかはこういう要請が来ると思っていた」と意気に感じた同社取締役の山下勝治氏は、通常の3倍となる約12時間の熟成時間も確保したうえで、パン生地を手でこねて金型に入れるなど生産ラインに手作業の工程を加えた。