メロンの産地は「夕張メロン」などで知られる北海道が有名だが、実は生産量日本一は茨城県。みずみずしい果肉が特徴のオリジナル品種「イバラキング」は、徐々に県内外での人気が高まっている。
茨城の中でも、鹿行地域に位置する鉾田市はメロンで県内一の生産高を誇る。その鉾田市で長年メロンなどを生産する「深作農園」は、農産物を生かしたバウムクーヘンの開発に取り組んでいる。「農家が作るバウムクーヘン」として人気が出た商品は月1万個以上を売り上げ、これまでに「モンドセレクション」など国内外の品評会で賞を獲得。9月からはメロンの形や味をモチーフにした「ホコタメロンバウム」の販売も始めた。
◆農作物を通年生かす
「大々的な宣伝はやっていない。味が分かってくれる人が買ってくれていると思う」と深作農園の深作勝己社長(32)は商品への自信をのぞかせる。
深作社長は明治大学農学部卒業後に鉾田市の実家に戻り、農業に携わってきた。畑ではメロンやイチゴ、ミズナなどを栽培しているが、旬の時期が限られているため、農作物を通年味わえる加工品を模索していた。
目を付けたのは、仕事の休憩中にお茶菓子としてよく食べていたバウムクーヘン。「日持ちが良く、嫌いな人はいないと思った」と深作社長。
しかし、洋菓子作りの経験はほとんどゼロ。知人やインターネットなどで情報を集め、たどり着いたのが日本のバウムクーヘン発祥の地・神戸だった。
深作社長は妻のあゆみさん(32)と神戸に足しげく通い、洋菓子店や菓子メーカーでオーブンの使い方などの知識や技術を身に付けた。数カ月間、神戸で修業を積み、2010年2月に農園駐車場内にバウムクーヘン専門店「ファームクーヘン フカサク」をオープンした。
農作物を生かした加工品を目指して開いた店だったが、「土台がしっかりしていないと農作物は生かせない」と、当初はプレーンタイプのみを販売。「素人同然で始めた」と語るが、しっとりとした柔らかさが特徴の商品は口コミなどで人気が広がり、店には購入者から「有名店のバウムクーヘンよりもおいしい」などの感想が書かれたファクスが多数寄せられた。