トルコ最大の都市イスタンブールで、アジアと欧州を隔てるボスポラス海峡を海底トンネルでつなぐという150年来の夢を実現した海峡横断地下鉄が先月下旬、日本の支援で開通した。技術的に難度の高い海底トンネル部分を担当したのが大成建設だ。この数年、大成の海外事業は赤字続きだったが、高度な技術力を生かし安易な価格競争を避けることで、早期の黒字化を目指す。
トルコで難工事
大成の海外事業における躍進を象徴する地下鉄開通式典が10月29日、ボスポラス海峡に面したイスタンブール・ウスクダル駅近くで開かれた。大成の山内隆司社長が、トルコのエルドアン首相や日本の安倍晋三首相らとともにテープカットをすると、紙吹雪が舞い、市民の歓声がとどろいた。
海底トンネルは、オスマン帝国時代の1860年に設計図が描かれたトルコの悲願だ。今回、運行を開始した海峡横断地下鉄は全長約13.6キロで、日本はトルコの要請に応じて約1533億円の円借款を供与。大成は現地の建設会社2社と共同事業体(JV)をつくり、2004年8月に工事を始めた。