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≪インタビュー≫
□中島郁夫社長
■麦芽粉砕機などを自ら開発
--定年前に脱サラして起業するのは大きな決心が必要だったのでは
「サラリーマンだけで人生を終わりたくなかったし、定年まで待つと気力がなくなる。好きなビールに生涯を賭けようと思い、妻の反対を押し切って醸造所をつくった」
--それまでの技術者としての経験がビール工場の設備投資に生かされている
「麦芽粉砕機は自分で開発し、今でも故障なく使っている。瓶に自動でラベルを貼る装置もつくり、それまでの手作業と比べて時間を格段に短縮。購入するより低コストで生産効率をアップできた」
--日本で一般的な「ラガー」を扱わず、「エール」にこだわるのはなぜ
「エールは大手メーカーがほとんどつくっておらず、地ビールにふさわしい。英国やドイツなど本場のビールを参考に、オリジナルの製法で日本人に飲みやすい味わいで提供するのが、当社の方針だ」
--六甲ビールの特徴は
「六甲山麓のきれいな湧き水を利用して、麦芽も新鮮なものを使っている。劣化を防ぐために冷蔵で保管・輸送しているので、生きた酵母から生まれる芳醇(ほうじゅん)な香りを楽しんでもらえる」
--直営店を出したのをきっかけに商品を増やした
「フルーティーな香りが特徴の『六甲ヴァイツェン』や、燻製(くんせい)した麦芽を使用した『ラオホビール』など、六甲ビールならではのビールをさらに多彩に打ち出した。新商品は鮮度の高いたるの状態で直営店などに出荷している」
--出店効果で出荷量が伸びている
「地ビールブームが再来しているのかもしれないが、全体の流れではないとみている。新たな商品開発や設備投資は過剰設備につながるおそれもあり、慎重に進めたい」