素材メーカーが相次ぎ、デザイン性や機能性にこだわった薄型太陽電池の開発を強化している。
好みの色で製造できたり、屋外の壁などに張り付けられる高耐久性など新しい価値をアピール。2015年度には延べ床面積2000平方メートル以上の新築建物に省エネ基準の適合が義務化されるため、各社ともそれまでの商品化を目指す。
積水化学工業が5日に発表した「フィルム型色素増感太陽電池」は、高温による焼成工程を必要としない生産性の高さが特徴。
これまでは電極素材を500度の高温で焼き付ける工程が必要だったが、電極素材を高速で飛ばし、その衝突エネルギーで結合させる技術を開発した。上ノ山智史取締役は「室内温度で生産できるので、耐熱性の低い基盤でも太陽電池を生産できる」という。
三菱化学は、向こう側が透けてみえるシースルー型有機薄膜太陽電池を開発した。厚さが1ミリ以下と薄いだけでなく、一般的に普及している黒以外の色も可能。「デザイン建築など意匠にこだわった建物の壁や屋根など室内外に設置できるため、建物の雰囲気やデザイン性を損なわない」(石塚博昭社長)のが売りだ。