十倉雅和さん【拡大】
■サウジ合弁の安定操業で中国に対抗
--2013年度から始まった新しい中期経営計画の手応えは
「財務数値としては円高是正効果もあり、良いスタートが切れた。情報電子化学、健康農業分野、医薬事業の3事業は10%以上の営業利益率を稼ぐまでに成長した。強固な3分野をそろえているのが強みだ」
--一方で手応えが不十分だったのは
「15年5月の千葉・エチレン設備の停止を決め、不採算の誘導品生産事業から撤退するなど再構築を進めた。千葉の再構築は予定の8~9割まで順調に進んでいる。収益力が低下しているナイロン原料のカプロラクタムやアクリル樹脂原料のメチルメタクリレート(MMA)事業も何らかの手を付ける必要がある。生産拠点の愛媛工場の再構築はさらに進めなくてはならないだろう」
--具体的には
「愛媛ではリチウムイオン電池材料の高純度アルミナなど高付加価値で需要のある素材も製造している。こうした独自性のある事業を伸ばしながら、不採算事業はシンガポールとサウジアラビアの海外拠点に移していく。愛媛には石炭火力をベースにした自社の電力会社があるので、電力コストは非常に低い。こうした独自材料の生産技術と安価な電力調達という強みを生かした最適生産を進めていく」