ところが、都知事選の結果、全国の消費電力の1割を占める都が「脱原発」を強く打ち出せば、「泉田氏は振り上げた拳を下ろせなくなる」(エネルギー大手首脳)。経済産業省幹部も「再稼働が著しく遅れるようなことになると、再建計画に一定の影響が及ぶのは避けられないだろう」と懸念する。
都は1951年の東電設立時から東電株を保有。現在も4267万株を持ち続けている。
福島第1原発の事故後、東電の大株主だった第一生命保険や日本生命保険が持ち株の一部を売却したため、2012年3月末時点で都が筆頭株主(保有比率2.66%)に躍り出た。都の影響力は増し、株主総会では東電病院の売却を要求。東電は同病院の売却を決めた。
しかし、東電はその後に実質国有化され、政府の原子力損害賠償支援機構が発行済み株式総数の55%を握る。現在、都の保有割合は1.2%(4位株主)で、東電の経営に口を挟める余地は小さくなった。