東京モーターショーで国産第1号タイヤ(左)の生産から100年の節目に開発した、世界初の石油を使わないタイヤ「エナセーブ100」(右)を発表する住友ゴム工業の池田育嗣社長=2013年11月、東京都江東区(同社提供)【拡大】
かくして01年にできあがったのが「タイヤの基本性能は満足できないが、とりあえず素材を集めて作り上げた」(関係者)という、石油に由来しない素材を97%使ったプロトタイプ(試作品)だった。この段階で同年の東京モーターショーで展示したところ、予想以上の反響があり、04年には市販化を目指す方針を社内決定した。
しかし市販化の実現には、いくつもの“想定外のハードル”が存在するとも予測。非石油系素材の割合を徐々に高め、ホップ・ステップ・ジャンプと3段階のステップを踏む形で「脱・石油」系タイヤの量産・市販化を進めていくことになった。
具体的には、06年に非石油系素材70%、08年に同97%の目標を設定。そして住友ゴム工業が国産第1号のタイヤ製造から100年目に当たる13年に「100%」を満たしたタイヤを市販化するというゴールを定めた。
「当時はすでに目標はあったが、(開発技術の裏付けなど)中身がなかった。半端ないプレッシャーだった」
04年から「脱・石油」系タイヤの素材開発に携わってきた和田孝雄材料企画部課長(53)は振り返る。会社の夢を具体化し、実現するまでの道のりは試行錯誤の連続だった。
まず手がけたのは、石油系素材の天然素材への切り替えだ。タイヤの主原料である合成ゴムを天然ゴムへ、タイヤの補強剤となるカーボンブラックはシリカへ、鉱物油は植物油へ-と、素材の代替を進めていった。
ただ、天然ゴム製タイヤのネックは雨の路面でブレーキをかけ、車が停止するまでの制動距離。「合成ゴム製が50メートルならば、天然ゴム製では70メートルかかり、車の安全性に多少不安がある」(和田課長)という課題が浮上した。