当時、多くの被災者は安否情報を携帯電話で確認していたが、電気が不通になった地域では携帯電話のバッテリーを充電できず、携帯電話が使えなくなっていた。そこで、藤田社長は「温かい飲み物や食べ物を作っている間に携帯電話の充電ができないか」と思い、自社の熱電技術を活用すれば、このイメージを具現化できるかもしれないと直感した。早速、震災当日の夜に開発を開始した。3カ月ほど試行を繰り返し、6月上旬には完成させて販売にこぎ着けた。
発電鍋は、鍋底に熱発電板を組み込み、火で熱すると、水との温度差で電圧が生じる仕組みだ。鍋底の外側に取り付けた熱発電板は鉄のカバーで覆った。厚さは、主力商品である容量1リットルタイプ(深さ9.3センチ)の場合、6~7ミリ程度となる。
鍋の中に水を入れた状態で、火にかけると熱が発生、沸騰してできたお湯は約100度になる。一方、直火があたる鍋底は550度まで上昇する。熱発電板にある電子は、高温側から低温側に移動する特性を持つので、電子が流れて電気になる。発電した電気を導線で取りだして鍋の取っ手まで送り、取っ手の先端に取り付けた出力口にUSB充電ソケット用のケーブルを差し込む。こうして携帯電話の充電が可能になる。