□サラダ用調味料「トスサラ」シリーズ
■働く主婦に “いつもと違う”を簡単演出
実現することは決して容易ではないテーマだが、多くの企業では、独創的な新商品を開発して新市場を作り出す努力が続けられている。味の素では、“生活者の心に響く”ことをテーマに開発したサラダ用調味料「トスサラ」で新市場創出に挑んでいる。
◆「手際よく」にこだわり
商品開発にあたって、ユーザーの声を聞くことは不可欠だ。食品開発の現場では、主な購入者である主婦を対象にした調査を行い、その結果を商品開発に反映することが広く行われている。
しかし、ひと言で“主婦”といっても、専業主婦と有職主婦の間には、微妙な意識の差が認められる。料理に対する姿勢を例にとると、専業主婦は「節約」志向が強く、出費を抑えられるなら少々の手間なら惜しまない。一方、有職主婦には「手際よく」こなすことにこだわりがあり、手間が省けるなら、多少お金がかかることは気にしない傾向が認められる。
ところが、生の声を聞こうとして主婦を集めても、時間に余裕のない有職主婦が参加することは難しい。有職主婦の比率は1997年には専業主婦よりも高くなっているにもかかわらず、“主婦の声”として集められる意見や感想は、専業主婦のものが中心となっていた。味の素では、有職主婦をターゲットにして、その“心に響く”商品の在り方を探りながら開発に取り組んだ。