ブラジルのGDP成長率【拡大】
教育、自動車などに投資拡大
「自動車の次にお金を使うのは教育」。ブラジル三井物産で消費者ビジネスを開拓する稲田大輔副部長は、家庭学習やIT(情報技術)を使った教育産業に照準を合わせ、日本や現地のパートナー探しに奔走する。教育市場は世界で6位と仏と同水準だけに期待は大きい。
ブラジルの13年の自動車販売台数は自動車購入への減税効果がなくなり、前年比0.9%減の376万台と10年ぶりに微減に転じたが、生産台数は9.9%増と活況だ。国内産業保護を重視する同国政府は12年に現地生産を促す新自動車政策を導入。日産自動車やホンダが相次ぎ新工場を、トヨタ自動車もエンジン工場をそれぞれ計画している。
サンパウロでは100円ショップ「ダイソー」や牛丼「すき家」も店舗を拡大中だ。地方でも、ブラジルキリンが南東部の経営基盤が強みとなっているほか、インスタントラーメン販売の日清味の素アリメントスは中間層が拡大するペルナンブコ州で工場を稼働させた。
ただ、「複雑な税制体系や労働者寄りの労働法制などの非関税障壁」(二宮康史・アジア経済研究所副主任研究員)が中堅企業の進出に立ちはだかっており、構造的な問題の解消に向けた両国政府の取り組みが問われている。(上原すみ子)