グランパは、野菜の栽培に適した温度や湿度をコンピューター制御で管理するドーム形の野菜工場を独自に開発し、天候に左右されず高品質な野菜を安定的に生産できる仕組みを生み出した。ドーム形の野菜工場は神奈川県内だけでなく、東日本大震災の被災地でも導入され、農業の復活に貢献している。
◆毎日400株を出荷
みなとみらい線馬車道駅近くにある横浜市役所の新庁舎建設予定地。この敷地に同社が運営するドーム形の野菜工場「グランパ横浜農場」(横浜市中区)がある。高層ビルが立ち並ぶみなとみらい(MM)21地区にもほど近い場所で、農業とはギャップがある立地だ。設置された当初は珍しそうに眺める人も多かったという。
直径約30メートル、高さ約5メートル、延べ床面積約570平方メートルのドームの中では、サラトリオという品種のレタスが土を使用せず水耕栽培されている。約1万5000株のレタスが整然と植えられ、毎日約400株がコンスタントに出荷される。
安定した出荷と高品質を可能にしているのは、徹底した栽培環境の管理にある。温度や湿度、二酸化炭素(CO2)濃度などはコンピューターで自動制御し、レタスの生育に適した環境を常に維持している。透明のドームの膜は樹脂フィルム製で、効率よく太陽光を採りこみ断熱効果も発揮する。
円形の水耕栽培ベッドの中心から苗を植えると丸テーブルが自動で回転。レタスは成長しながら外側に移動し、外周に達したら収穫できる。外側に移動させることで、葉を広げるスペースを確保しており、無駄なスペースも生じないという優れたシステムだ。
グランパのドーム形野菜工場は神奈川県秦野市、藤沢市、県外では三重県鈴鹿市、群馬県草津町などでも稼働中。山梨県北杜市には8万平方メートルの農場に大規模な導入が予定されている。