2014年3月期決算を発表する三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長=14日、東京・日本橋の日銀本店【拡大】
三菱UFJフィナンシャル・グループなど5大銀行グループの2014年3月期決算は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を背景とした株価の好転や取引先企業の業績回復を追い風に、最終利益がリーマン・ショック前の水準に戻るなど好決算となった。ただ、貸出金利から預金金利を差し引いた利ざやの低下には歯止めがかかっていない。今期は貸し出しを一段と拡大し、本業の収益を改善することが課題になる。
「昨年はアベノミクスというフォローが吹いた」。三菱UFJの平野信行社長は14日の会見で、14年3月期決算をこう総括した。
株式市場の好転に伴い、株式の売却益など株式等関係損益は5グループ合計で約3300億円の利益を計上。前年度に比べ約5000億円も改善した。「株式や不動産市況が好転した」(三井住友トラスト・ホールディングスの北村邦太郎社長)ことで、投資信託の販売や不動産仲介といった手数料収入も拡大した。
取引先企業の業績改善に伴い、貸し倒れに備えて積み立てていた引当金が「戻り益」として利益計上されたことも大きい。5グループ合計の戻り益は約2100億円に達した。