関西電力大飯原子力発電所3、4号機の運転差し止めを認めた21日の福井地裁判決。政府は安全性が確認された原発の再稼働を進める方針を打ち出しているが、判決をきっかけに原発の立地自治体などの反発が拡大すれば、再稼働が遠のく可能性がある。
「原発への地元住民の信用に影響する可能性もある」。東京電力福島第1原発事故後、初めて原告が勝利した原発の運転差し止め訴訟に関電関係者は衝撃を隠さなかった。関電は同日、「速やかに控訴の手続きを行う」とコメントした。
政府は4月に閣議決定したエネルギー基本計画で、原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めれば、その判断を尊重して「原発の再稼働を進める」と明記している。
規制委は現在、大飯3、4号機を含む11原発18基について、昨年7月に施行された規制基準に基づき審査している。規制委の田中俊一委員長は「従来通り、われわれの考え方で審査をしていくことになる」と審査への影響を否定するが、仮に審査をクリアできたとしても、再稼働には地元同意が必要だ。