【底流】巨人デュポン超えで見えた三菱ケミカルの“危機感” (2/4ページ)

2014.6.8 22:00

買収に合意し会見する三菱ケミカルHDの小林喜光社長(左)と大陽日酸の田辺信司社長。小林社長は石油化学からの脱却を急ぐ(コラージュ)

買収に合意し会見する三菱ケミカルHDの小林喜光社長(左)と大陽日酸の田辺信司社長。小林社長は石油化学からの脱却を急ぐ(コラージュ)【拡大】

 三菱ケミカルHDの基礎化学品事業も平成26年3月期は90億円の営業赤字に陥った。27年3月期は生産設備の休止などでやや改善するが、それでも50億円の営業赤字となる見通しだ。供給過多で市場価格は原料の値上がりに追いつかない。一方で国内各社は「韓国や米国と比べ、日本のエネルギーコストは3倍高い。コスト競争力で海外と戦うには限界がある」(小林社長)のが実情だ。

 「外資」に先行

 苦境からの脱却に向け、三菱ケミカルHDが照準を定めたのは、大陽日酸が持つ産業ガス事業だ。窒素などの産業ガスは、今後、米国で採掘が本格化するシェールガスから化学品を製造するのに不可欠だ。米国でシェールガスを原料とする化成品工場の建設を計画する三菱ケミカルHDにとって、子会社化によるメリットは大きい。

 ただ、アナリストからは「M&Aよりも既存事業の再編や構造改革が先ではないか」「不採算事業の売却益を原資に買収するのが理想だ」などと、早急な買収判断を疑問視する声も少なくない。

「三菱グループに入ることで(外資による)買収危機を回避できた」

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