【オフィスビル新潮流】(下)
■「知的な刺激」や「若い人材」付加
ベンチャー企業の誘致が注目されているのは、街としての魅力が向上するからだ。事業の仕掛け人は「知的な刺激」や「若い人材」を求めており、都市再開発で先行する大手の三井不動産と三菱地所を追撃する。
日本を代表する証券街「兜町」(東京都中央区)。バブル期には、米ウォール街や英シティーと並ぶ世界の金融センターと呼ばれた。しかし、株式取引の電子化で立会場がなくなったことや株式市場の長期低迷を背景に、大手証券の本社は姿を消した。事務所を閉じる証券会社も相次いでいる。
こうした現状を踏まえ、東京証券取引所の建物を所有する平和不動産が立ち上がった。取引所周辺の約10万平方メートルを対象として、2020年までに最大200億円を投じて開発用地を取得。現在の東証建物と同規模のオフィスビルを複数棟、建設する計画だ。
国際金融センターとしてにぎわいを取り戻すための鍵を握るのが起業家。新しいビルには、共用オフィスやコミュニティーカフェを導入するなど、現在の兜町に希薄とされている交流機能を備える。投資家と起業家、大企業の新規事業開発担当者らが集う環境を整備し、成長企業への投資を促す。平和不動産の岩熊博之社長は「兜町を『知的な刺激を受ける街』にしたい」と語る。