好調な軽自動車をめぐって蜜月関係にある日産自動車と三菱自動車に不協和音が生じている。共同開発した軽の全量を三菱自の工場で生産し、それぞれで販売する手法を用いて約1年が経過したが、日産が軽を自社生産する意欲を突如、あらわにしたからだ。低迷する国内の生産台数確保に向け、軽を切り札にしたい日産の思惑が透けてみえるが、三菱自側も虎の子の軽を手放したくない。破談は双方にとってデメリットも多いだけに、落としどころの探り合いとなりそうだ。
100万台維持へ躍起
事の始まりは、先月末開催の株主総会で、両社首脳が株主からの質問を受ける形で答えた発言にある。
日産のカルロス・ゴーン社長が先月24日、今後の国内生産について、「一部の軽については将来的に自社工場で生産する」と発言。一方、三菱自の益子修会長は翌日、「生産は三菱自動車の水島製作所で行うのが基本的な考え方」と述べ、共同開発の軽を日産で生産する可能性について否定するなど、両社の歩調が合っていないことが露呈したからだ。