高温の環境を好む「好熱性微生物(好熱菌)」を活用した新技術で食糧生産分野のイノベーション(改革)に挑むべく、千葉大学(千葉市稲毛区)、バイオベンチャーの日環科学(同中央区)、京葉プラントエンジニアリング(千葉県市川市)がタッグを組んで誕生した産学連携企業「サーマス」。10年を超える共同研究により、豚などの畜産動物に与えることで脂肪量を抑えつつ、成長を促進させる作用のある新種の好熱菌を発見するなどの成果をあげている。農業分野でも、より安全で高品質の作物生産を可能にするなど環境や健康に配慮した食糧生産の仕組み作りを目指している。
◆生産者の声ヒントに
好熱菌とは通常、50度以上の高温環境で生息する微生物を指し、産業用加工酵素の生産菌などとして知られる。半面、摂取することで生体の体内環境の改善などに役立つ「プロバイオティクス」の分野では、常温で活動する乳酸菌や酵母菌などに比べると“マイナー”な存在で研究もあまり進んでいなかった。
ヒントとなったのは、生産者の声だ。食品残渣(ざんさ)などを高温で発酵させた飼料を畜産動物に与えていると、「動物の肉質が良くなる」「病気や死亡する数が少なくなった」と耳にした。
「詳しいメカニズムは不明だが、好熱菌は動植物に有効な効果を与える何らかの作用がある」。手探りの状態だったが、国内の食料自給率の低迷や飼料となる穀物需要の世界的な逼迫(ひっぱく)、また安全かつ高品質の食べ物を求める消費者のニーズの高まりなど、開発の必要性は強まっていた。そこで、日環科学と千葉大が中心となって進めていた研究に、バイオ関連事業にも取り組む京葉プラントエンジニアリングが加わり、本格的な事業化に向けて未開拓の分野に乗り出した。