どこから見てもバスなのに、「無軌条(むきじょう)電車」と呼ばれる珍しい乗り物がある。北アルプス・立山連峰を貫き、富山と長野を結ぶ観光路「立山黒部アルペンルート」で関西電力が運行している関電トンネルトロリーバスだ。
8月1日で開業から50年の節目を迎えた一風変わった“鉄道”は地球225周分を走行し、約5710万人の乗客を運んできた。これまで物損事故を含めて「完全無事故」という記録を持ち、関係者は「50年間一度の事故もなく安全輸送に徹することができたのは誇りだ」と語る。
急勾配に最適
無軌条電車は道路の上をタイヤで走行。外観はバスそのものだが、バスと異なるのは屋根の集電装置「トロリー」だ。電車と同様に架線から電気を取ってモーターで走ることから「トロリーバス」といわれる。
関電トンネルトロリーバスは長野県大町市の扇沢駅から富山県立山町の黒部ダム駅までの6・1キロを結ぶ路線。雪に閉ざされる冬季を除き、1日20往復する。