送電線は、無制限に電気を流すことができるわけではなく、一定の許容範囲がある。それを超えて、電気を流し続けると、熱を帯びて電線が劣化しやすくなったり、溶けたりする危険性が高まり、停電や火災事故につながりかねない。姫路、御坊市方面にある複数の送電線で、許容範囲を超える寸前に至る事態が「連日のように発生している」(関電)という。
送電線自体の許容量を増やすことは、工事に時間や莫大(ばくだい)な費用がかかるため困難。そこで関電は、電気を流す余裕のある送電ルートを見つけて、電流を分散させる「系統切り替え」を連日行って、送電線への負担を極力小さくする対策をとっている。
送電ルートを決める関電・基幹系統給電所の辻和典所長代理は「火力発電所のある地域周辺で送電線に電流が集中したり、電線の電圧が過度に上がったりするいびつな事態が起きている。原発の稼働時期が見えない中、火力発電を抑えることもできず、綱渡りの状態だが最大限カバーしている」と話す。