この構図は、来年の春闘も変わらない。22日の政労使会議で安倍首相は「賃金の上昇がなければ、経済の好循環を生み出すことはない」とさらなる賃上げを求め、「賃金の水準と体系の議論が必要」と強調した。労使、政府のベクトルは基本的にそろっているが、3者の間には濃淡もある。
前期(26年3月期)に続き、今期も自動車、電機など輸出業を中心に業績は堅調に推移している。ただ、4月に実施した消費税率の引き上げ、夏場の天候不順などで個人消費は低迷し、経済指標には下振れの数字が並ぶ。
「連合は過年度物価上昇分などで目標数字を決める。実績で方針を決めることは合理的で、ベア2%以上という目標は労働運動としては理解できる」。前出の財界関係者はこう話した上で、「とはいえ、今春闘では同業他社の動向を重視してベアに踏み切った企業もあったと聞く。景気の先行き不透明感が増す中、来年は足並みがそろいにくいのでは…」と推測する。
ただ、外食産業などは賃上げによって人手を確保しないとサービス、営業が提供できない企業もあり、賃上げ分は価格に転嫁せざるを得ない。内需型産業はグローバルな価格競争力を維持するため、製品の値上げに慎重な輸出産業に比べ、価格転嫁のハードルはまだ低い。宮前氏は「過去十数年をみても、賃上げと値上げが同時にできる数少ない好機だ」という。