福岡のダイエーの象徴だった「ダイエーショッパーズ福岡店」。完全子会社化で看板が「イオン」に架け替わる【拡大】
九州のスーパー業界図に変化が生じている。大型総合スーパーの「1強」といわれるイオングループの業績に翳(かげ)りが見え、一方で「ゆめタウン」を展開するイズミが伸長する。コンビニやディスカウントストア、そしてネット通販など異業態との競争が激しくなり、今後、地場中堅スーパーを巻き込んだ業界再編が加速するとの見方が強まっている。
「営業赤字という厳しい状況。同業他社と比べ、九州として独自の販売促進になっていなかったことを反省している」
今月3日、8月中間決算の記者会見に臨んだイオン九州の伊藤文博常務は、こう語った。この日、ソフトバンクホークスのリーグ優勝セールが始まり、イオン九州の全119店は、開店と同時に大勢の客でにぎわったが、伊藤氏の表情に明るさはなく、苦渋の色を浮かべた。
売上高は前年同期比1・2%減の1214億円、本業のもうけを示す営業損益は18億円の赤字、最終損益も11億円の赤字だった。営業赤字は昨年同期の9倍にも達した。
イオングループは拡大路線をひた走ってきた。
平成13年、かつて九州最大手だった「寿屋」(熊本市)が民事再生法を申請したのを契機に、同社の41店舗の譲渡を受けた。その後もマイカル、ダイエーと九州にも縁の深い両社を子会社化するなど、消費不振と呼ばれた時代の「勝ち組」となった。
このイオンが、なぜ業績悪化に苦しんでいるのか。全国画一の販売戦略が、消費動向の変化に適応できず、後手に回ったからだといえる。