福岡のダイエーの象徴だった「ダイエーショッパーズ福岡店」。完全子会社化で看板が「イオン」に架け替わる【拡大】
アベノミクス効果による景気回復を受けて、消費者の動向は二極化が加速する。本当に欲しい物や、高品質の物は、多少高くても買う半面、日常品や消耗品はできる限り切り詰めるという考えが定着した。
総合スーパー主力の食料品では、生産者の顔が見える高品質な直売所が人気を集める一方で、ミスターマックスやトライアルといったディスカウントストアの安価な商品も売れ行きがよい。衣料品も高価な百貨店と、ユニクロなど安価なファストファッションが、消費者の財布を引きつけている。
イオンは、この二極化の狭間(はざま)に落ち込んでしまったといえるだろう。
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だが、総合スーパーすべてが苦しんでいるわけではない。
イオン九州とは逆に、九州戦略に自信を見せているのが、広島市に本社を置き西日本で総合スーパー「ゆめタウン」などを展開するイズミだ。
8月中間連結決算では、売上高2834億円と、前年同期を4%上回った。新規出店によるコスト増の影響で利益は減少したが、それでも営業利益137億円、最終利益85億円と黒字を確保した。
消費増税の反動減も吹き飛ばした。中間期の既存店の月別売上高をみると、消費増税があった4月は前年同月比6%減となったが、その後はほぼ前年実績を上回ったという。イオン九州の月別売上高が8月まで前年同月を下回ったことと対照的だ。
イズミは平成7年に福岡県遠賀町に「ゆめタウン遠賀」をオープンし、九州に進出した。新参で苦戦しただけに、画一的な店舗展開を止め、地元の食文化に合わせた生鮮品の品ぞろえなど、地域密着を早くから進めた。