【開発物語】「“Wおどり炊き”スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器」 (3/7ページ)

2014.11.3 05:00

パナソニックの「スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器」

パナソニックの「スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器」【拡大】

  • パナソニック・アプライアンスの神戸工場=神戸市西区
  • 検討を重ねる炊飯器の設計技師ら
  • 水温からコメの重さまできっちりと計って炊き上げる=神戸市西区のパナソニック・アプライアンス
  • 実験室のような部屋で炊きあがったご飯の香りや味を確かめるライスレディ=神戸市西区のパナソニック・アプライアンス

 さらに、開発チームを苦しめたのが評価テストだ。パナソニックは1つの炊飯器を作るのに200~300の評価項目がある。その中で一つでもおかしいものがあれば、振り出しに戻らざるを得なかった。安全性の証明が何よりも重要となるため、根気よく、一つずつクリアしていった。

 その結果、構想から3年以上をかけて、ようやく、Wおどり炊きの炊飯器が完成した。通常の炊飯器の開発は1年程度に比べて、かなりの期間を費やした。

 製品化のめどが立ち、開発チームは喜んだが、一方で不安もあったという。食味が違い、モチモチしたご飯の炊飯器はパナソニックの利用者には初めてとなる。古くからの利用者に受け入れられるのか、現場はハラハラしていた。だが、蓋を開けてみると、9割以上が満足という調査結果が出た。不満の人は3%未満で、従来機種よりも少ない数字となった。

                  ◇

 その結果を見て、「片意地を張らず、時代に応じて変わらないといけないと反省した」(加古さん)という。Wおどり炊き機能を搭載した炊飯器は、10万円前後するにもかかわらず、消費者から好評で同社のヒット商品となった。

 三洋電機がパナソニックの子会社となってから5年。事業売却ばかりが目立ち、両社の技術を融合した画期的な新製品は少ない。そうした中で、プライドを捨ててお互いの良い部分を組み合わせて開発したWおどり炊きを搭載した炊飯器は、成功事例の一つとなった。

                  ◇

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。