【開発物語】「“Wおどり炊き”スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器」 (5/7ページ)

2014.11.3 05:00

パナソニックの「スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器」

パナソニックの「スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器」【拡大】

  • パナソニック・アプライアンスの神戸工場=神戸市西区
  • 検討を重ねる炊飯器の設計技師ら
  • 水温からコメの重さまできっちりと計って炊き上げる=神戸市西区のパナソニック・アプライアンス
  • 実験室のような部屋で炊きあがったご飯の香りや味を確かめるライスレディ=神戸市西区のパナソニック・アプライアンス

 新製品は、20の銘柄のコメに合わせて炊き上げる機能や5つの食感に炊き分けられるため、その分だけ、調理ソフト開発の負荷も重かったという。それでもパナソニック史上最高傑作の炊飯器を目指し、チーム一丸で開発に取り組んだ。

 機構設計者も初めての圧力式の採用で、試行錯誤の連続だった。調理ソフト開発との連携も強化し、全体を統括しながら、製品化の道筋をつけた。北木宏炊飯器設計チーム主任技師は「結果もきっちり出せて苦労したかいがあった」と感慨深げだ。今後は「はじめチョロチョロ、なかパッパ」のかまどの概念を覆す炊飯器の開発が大きな夢だ。

                  ◇

 ■出荷台数横ばいも単価は毎年上昇

 ≪MARKET≫

 炊飯器市場は、日本電機工業会の調べで、出荷台数が600万台前後と横ばいで推移している。ほぼ全てが買い替えとなっており、コンスタントに需要がある状況だ。各メーカーは耐用年数を10年で製造しているが、買い替えサイクルは平均で7年となっている。

 炊飯器は電熱ヒーターを利用する「マイコン式」と、電磁力で釜全体を加熱する「IH式」の2つの方式に分けられる。マイコン式は、釜の底面だけを加熱する。炊飯時間と温度の制御で、炊きむらを抑制して、炊飯・保温ができる。

 一方、IH式は底面だけでなく、側面や上部から加熱するため、マイコン式よりもむらなく炊けるのが特徴だ。内釜は火力が通りやすい素材を使い、マイコン式よりも値段が高い。

 2000年前後には、マイコン式とIH式の出荷比率は半々だったが、現在はIH式が7割程度となっている。

 炊飯器市場の大きな特徴は、ほかの白物家電と対照的に毎年単価が上がっている点だ。出荷台数は横ばいだが、金額ベースでは、前年よりも上回るメーカーが多い。

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