新製品は、20の銘柄のコメに合わせて炊き上げる機能や5つの食感に炊き分けられるため、その分だけ、調理ソフト開発の負荷も重かったという。それでもパナソニック史上最高傑作の炊飯器を目指し、チーム一丸で開発に取り組んだ。
機構設計者も初めての圧力式の採用で、試行錯誤の連続だった。調理ソフト開発との連携も強化し、全体を統括しながら、製品化の道筋をつけた。北木宏炊飯器設計チーム主任技師は「結果もきっちり出せて苦労したかいがあった」と感慨深げだ。今後は「はじめチョロチョロ、なかパッパ」のかまどの概念を覆す炊飯器の開発が大きな夢だ。
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■出荷台数横ばいも単価は毎年上昇
≪MARKET≫
炊飯器市場は、日本電機工業会の調べで、出荷台数が600万台前後と横ばいで推移している。ほぼ全てが買い替えとなっており、コンスタントに需要がある状況だ。各メーカーは耐用年数を10年で製造しているが、買い替えサイクルは平均で7年となっている。
炊飯器は電熱ヒーターを利用する「マイコン式」と、電磁力で釜全体を加熱する「IH式」の2つの方式に分けられる。マイコン式は、釜の底面だけを加熱する。炊飯時間と温度の制御で、炊きむらを抑制して、炊飯・保温ができる。
一方、IH式は底面だけでなく、側面や上部から加熱するため、マイコン式よりもむらなく炊けるのが特徴だ。内釜は火力が通りやすい素材を使い、マイコン式よりも値段が高い。
2000年前後には、マイコン式とIH式の出荷比率は半々だったが、現在はIH式が7割程度となっている。
炊飯器市場の大きな特徴は、ほかの白物家電と対照的に毎年単価が上がっている点だ。出荷台数は横ばいだが、金額ベースでは、前年よりも上回るメーカーが多い。