【番頭の時代】(5)日本電産の「補佐役」たち(上) (1/5ページ)

2014.11.18 05:00

 ■挫折経験買われ 後継の一角に

 ■外部からプロ、時間を買う

 最高気温が30度を超え、うだるような暑さを感じ始めた7月下旬。精密モーター大手、日本電産社長の永守重信とシャープ元社長の片山幹雄が京都市内で対峙(たいじ)していた。片山は液晶パネルへの過剰投資でシャープの経営危機を引き起こしたとされる人物だ。

 「やってみなはれ」

 永守は初対面にもかかわらず、熱心に入社を口説いた。

 この時、片山は経営の第一線から退き、シャープの技術顧問(フェロー)として奈良の天理工場に勤務。永守が自分に「目を付けている」との話は1年ほど前から耳にしていた。永守の語る将来のビジョンに、片山の腹は決まった。

 「日本電産で皆さんが予想できないようなものを作っていく。その事業にワクワクしているんです」

 日本電産の副会長兼最高技術責任者(CTO)就任が発表された8月5日夜、片山は再出発への思いを笑顔で打ち明けた。

                  ◇

 「太陽よりも熱い男」

 こう評される永守は、電子部品業界でも異彩を放つ経営者だ。永守は今年3月から半年あまりかけて、自宅の広大な敷地に2階建ての建物を建設した。自身のトレーニング施設とみられる。

 健康管理を怠らない永守は、70歳を過ぎても経営の第一線から離れる気配はない。「夢は10兆円企業」が最近の永守の口癖だ。

 その実現に向け、永守は優秀な外部人材の獲得を進めている。元シャープ社長、前カルソニックカンセイ社長、元日産自動車執行役員、元エスエス製薬取締役-。日本電産幹部に並ぶ顔ぶれは、永守の右腕となるスペシャリストであり、将来の日本電産を託す後継候補として引き抜いた「番頭」集団だ。

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