【番頭の時代】(5)日本電産の「補佐役」たち(上) (3/5ページ)

2014.11.18 05:00

 日本興業銀行(現みずほ銀行)出身の呉は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)子会社の社長などを経て、20年からカルソニックカンセイ社長を務め、同社の経営を立て直した。「コスト削減などにたけており、今で言う“プロ経営者”」と呉を知る自動車アナリストはいう。

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 永守が日産からヘッドハンティングしたのは呉だけではない。前年の12年には日産執行役員だった佐藤明を、今年4月には大谷俊明も入社させた。

 佐藤は日産で経理畑を歩んだ財務やM&A(企業の合併・買収)のプロ。また、大谷は直前まで電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に搭載するバッテリー事業部で責任者を務めていた人物だ。

 手当たり次第に外部から優秀な人材を引き抜いているようにみえるが、そこには永守の細心の気配りと冷静な戦略とがある。

 「電動モーターに新しい需要がこれから生まれる」

 永守はこう言って「車載用モーター」に経営資源を集中した。自動車1台には100個以上のモーターが搭載されており、EVなどが普及すればさらに増えるとみられる。

 携帯電話などに使われ、世界シェア8割を握る主力の精密モーター事業の利益が減少する中で、事業構造の転換に乗り出したのだ。

 副社長の呉や佐藤、専務執行役員の大谷といった「番頭」集団の獲得は、車載事業強化という永守の戦略の延長線上にある。呉を起用した結果、15年3月期の車載モーターなどの売上高は、主力の精密モーターを超える見通しだ。さらに800億円規模のM&Aも行うという。

 呉は今や次期社長候補の一人と目されている。

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