【番頭の時代】(5)日本電産の「補佐役」たち(上) (2/5ページ)

2014.11.18 05:00

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 「(シャープで)『大失敗した』とか、アホなこというたらあかん。(米アップル創業者の)スティーブ・ジョブズなんて大失敗してるわけや。会社潰しかけて、もう一度呼ばれて、今のアップルがあるんやろ」

 永守は片山の手腕を疑問視する声を一笑に付す。挫折経験こそが、優秀な人材を育てるというのが永守の持論だ。永守は片山が持つ技術者としての実績と、経営失敗という得難い経験に注目した。

 技術畑出身の片山は、テレビや携帯電話に液晶ディスプレーを搭載した「液晶のシャープ」の立役者でもある。数々の技術を開発し、特許も取得している。

 永守は「技術の将来性やどういう事業に出ていくか、どういう製品を開発するか。今までは僕がやっていたが、それを彼に渡す」と打ち明ける。

 ロボットや自動運転車など、次の成長分野をめぐる開発競争が世界規模で激化する中で、新規事業の創出を片山に託すのが永守の狙いだ。

 その期待に応えるように片山は言う。

 「私はシャープで失敗を経験した。どうすれば失敗するか分かっている」

 2013年春に発表された人事に、自動車業界が騒然とした。日産自動車の部品子会社カルソニックカンセイの社長を務めていた呉文精(くれ・ぶんせい)が、日本電産に移籍する人事だ。

 この人事が発表となる直前の3月11日に、日産自動車は呉を4月1日付で日産の常務執行役員に起用すると発表していた。日産にも部品を供給する日本電産が、得意先の幹部人事をひっくり返す“引き抜き”だけに、その後の取引への影響も懸念された。しかし、日産は粛々と呉を送り出した。日本電産社長の永守重信が日産幹部の元を訪れ「事前に根回しして、仁義を切っていた」(関係者)からだ。

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