【番頭の時代】(7)ナンバー2なきファーストリテイリング (3/5ページ)

2014.11.20 05:00

 達成するのが困難な課題を与え、乗り越えたらさらに高い目標を与える。柳井は、その繰り返しこそが、人や企業を成長させると信じている。1972年に父が経営していた地方の衣料品店に入社し、手探りで1兆3000億円の世界企業に育てた柳井自身が実践してきた哲学だ。ただ、その哲学に誰もがついていけるわけではない。柳井が家業に就いて2年目には、7人いた従業員がわずか1人になった。また、草創期のファストリで経理や財務など管理畑を担当し、柳井自身が「右腕」と呼んだ専務の菅剛久も入社から10年あまりで退任した。

 柳井は著書で「どんどんハードルを高く設定していくぼくの姿勢と部下たちの間にはさまれて」いたことを、菅の退任の理由のひとつに挙げている。

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 10月7日、東京都港区の東京ミッドタウンのファストリ本社。柳井が発表した“電撃人事”は、国内よりも海外で驚きとともに受け止められた。

 「世界を代表するクリエーター、ジョン・ジェイが入社し、経営陣の一員となった」

 柳井は誇らしげにこう述べ、ジェイとがっちりと肩を組んだ。柳井が参謀と見込んで役員に迎えたジェイは、かつて番頭だったローソン社長の玉塚元一とともに、16年前の昼食をともにした人物だ。

 コカ・コーラやマイクロソフト、ナイキなどの広告やブランド戦略を手掛けたジェイは、99年に日本国内でブームとなったユニクロのフリースのCMなども手掛けた。

 CMの企画に先立ち、ジェイは柳井らに、ニューヨークの街角で通行人にユニクロのフリースを見せて、値段を尋ねるフィルムを披露した。多くのニューヨーカーが、売値より高い値段を答えた。『いい商品を安い値段で売る』。ジェイは、柳井がユニクロに込めた企業価値の本質をこう提示した。

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