イエロがモバイルに特化していることを捉えて、彼らはフェイスブックか、それともソフトバンクか、あるいはドイツの類似インキュベーターであるロケットインターネットと競合する企業になろうとしているのかと考える人がいる。しかし、私の見解は少し違う。イエロはモバイル全般を広くカバーする一大ブランド構築を最終目標にしているというより、モバイル関連の特定の分野で最強のリーディング企業を複数傘下に収め、その市場を垂直的に制覇したいのではないか。
例えばモバイルメディアかモバイル広告といった分野に賭け、今後重点的にその分野の企業を買収していくと私は予想する。実際、モバイル広告の企業をすでに8社買収している。最も難しい挑戦は、分野を絞り込む際に、その市場が十分な大きさを持っているかどうか正しく判断するところにある。選んだ市場を独占することはそれほど難しくない。だからこそ、イエロは今に至るまでメッセージとゲーム関連を除くあらゆるモバイルサービス企業の買収に取り組んできたのかもしれない。
日本のスタートアップも買収対象として検討されているだけに、アジア最大を目指すイエロモバイルがどの分野の制圧に出るか注視しておきたい。
文:イジョビ・ヌウェア
訳:堀まどか
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【プロフィル】Ejovi Nuwere
イジョビ・ヌウェア ニューヨーク生まれ。無線LAN共有サービスFON創業者の一人。ビジネスウイーク誌により「25人のトップ起業家」に選出される。ネットマーケティングのランドラッシュグループ株式会社、アジアと英語圏で展開するオンラインバイリンガル秘書サービスのKaori-sanを創業。