【石平のChina Watch】
中国では今、「土豪」という新造語がはやっている。日本語に意訳すれば、「泥臭い成り金」、あるいは「あか抜けていない成り金」といった意味合いになる。
何らかのはずみで大金持ちとなった人が、金のあることを露骨に誇示して世間の注目を集めようとしている。こうした連中が、軽蔑と嘲笑の意をこめて「土豪」と呼ばれているのである。
それでは、土豪たちは一体、どのような行いで世間を騒がせているのか。
たとえば先月6日、江蘇省塩城地区の大豊市で人々が仰天するような出来事が文字通り「天から降ってきた」。この町で生まれ育った土豪の一人が「中秋の名月」の帰省のため、自家用のヘリコプターで町の真ん中に降り立ったからである。
彼の生家がそこにあったわけでもない。町の真ん中にヘリコプターを着陸させた唯一の目的は「自家用ヘリを持つほどの大金持ちとなったこと」を多くの市民に知らせることであろう。
よそで成功し郷里に帰って自己顕示する土豪は別にもいる。昨年11月、重慶市栄昌県で老婦人が亡くなると、企業家の息子は帰郷して盛大なお葬式を執り行った。