小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載して打ち上げられるH2Aロケット26号機=3日午後、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター【拡大】
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は3日午後1時22分、小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載したH2Aロケット26号機を種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げた。1時間47分後に高度約900キロで予定の軌道に投入、打ち上げは成功した。過酷な条件下でのサンプル採取や6年後の2020年12月頃が予定されている帰還の実現に向け、探査機には重機械メーカーなどを中心に日本企業の技術の粋が結集されている。成功すれば、企業の実力を世界にアピールすることにもつながりそうだ。
はやぶさ2は、世界で初めて小惑星からのサンプルリターン(試料回収)を成功させた「はやぶさ」の後継機。地球から約3億キロ離れた小惑星「1999JU3」に向かい、水や有機物を含むとみられる岩石を採取する計画で、太陽系や生命の起源に迫る成果が期待されている。総飛行距離は約52億キロに達する。
はやぶさ2を打ち上げるH2Aロケットの開発や打ち上げ業務を担った三菱重工業は、探査機の姿勢を制御する「スラスター」の開発も担当した。
宇宙では太陽からの粒子の流れや地球の大気、重力などの影響を受け、探査機の姿勢が不安定になる。スラスターはガスの噴射で姿勢を制御し、着陸した小惑星から離脱する推進力ともなる。初号機ではトラブルの原因となる故障を起こしたため、今回は溶接個所を減らすなどして強度を高めた。