金融市場の動揺は、株式市場や債券相場の乱高下へと飛び火。日本政府も、菅義偉官房長官が17日の会見で「国際金融資本市場においてリスク回避が広がる可能性について注視していく」と言及し、警戒感をあらわにした。
原油急騰が、世界経済の混乱を招いたかつてのオイルショックに対し、今回は急速な原油安の衝撃が世界経済を不安に陥れている。
原油相場の下落基調を決定づけたのは11月27日の石油輸出国機構(OPEC)総会だ。約5時間に及んだOPEC総会を終え、記者団の前に現れたサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は「偉大な決定だ」と、減産の見送りを勝ち誇ったように振り返った。
だが、実際にはOPECの存在感の低下が浮き彫りになった。減産に踏み切れなかったOPECについて、石油連盟の木村康会長は、「減産してもマーケットが動かないと判断したのでは」と、OPECが価格決定権を半ば放棄したと指摘する。
原油安で財政が厳しいベネズエラなどが減産を主張したものの、減産に踏み切れば米国の「シェールオイル」がその穴を埋めてしまう。