しかし、89年の大幅な酒税法改正で、同社の主力のウイスキーの税率が上がり、価格も高くなり売り上げは激減。さらに悪いことに、98年から酒類販売規制が緩和されたため、古くからの取引先である酒屋の多くは、大手スーパーやドラッグストアに押されて廃業に追い込まれ、次第に同社の販路は縮小していった。
◆海外から注文殺到
業績が悪化する一方だった2005年12月、ウイスキー製造を担当していた平石社長が後を継いだ。「とにかく会社を続けていくことに精いっぱいだった」と振り返る。
全体の生産量が少なく安定供給ができないため、全国系の大手スーパーと取引することは難しい。そこで、地元明石市と得意先の酒店が残っていた東京都周辺に重点的に営業をかけ、生き残りを図った。
またその頃、「大手ではできない特色ある酒を造りたい」との思いから、同社はオリジナルのウイスキーブランド「あかし」を販売。徐々に人気を伸ばし、発売時は年間1万本(500ミリリットル)にも満たなかった出荷数は、現在6万本となった。
4年前からは海外にも輸出。とくにフランスでは日本のウイスキーが人気で、現地業者から注文が舞い込み、2000本だった出荷数が現在は9万本と大幅に増え、経営を支えている。
平石社長は「ウイスキーなんて最初はおまけ程度の事業だったのに、今は主力商品の一つ。総合酒類メーカーだからこそ、さほど売り上げを気にしないで造り続けてこれた」と誇らしげに話した。(三宅令)
◇
【会社概要】江井ヶ嶋酒造
▽本社=兵庫県明石市大久保町西島919 (電)078・946・1001
▽設立=1888年5月
▽資本金=3300万円
▽従業員=35人
▽売上高=16億7000万円
▽事業内容=日本酒・焼酎・洋酒などの製造販売
◇